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【さくら色clover】(39)
らすとすぱーと。あと1話。
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(39)



「なのは、ちょっと来なさい」
 アリサたちが店に来てから遅れること約1時間後、ようやく現れたなのはをアリサが連れ出し、一緒にきたフェイトをすずかとはやてが空いている席に座らせた。
「アリサちゃん、遅れたことは謝るから」
 到着早々アリサに連れ出されたことから、なのはは合流が遅くなったことを怒られると覚悟した。
「そんなことどうでもいいわよ。 それよりも今まで何してたの?」
「フェイトちゃんが買いたいものがあるっていうから、一緒に見に行ってたんだけど……」
「それだけ?」
「それだけって……。 他に何があるの?」
 質問の意図がわからず首を傾げるなのはに対し、アリサは真剣な表情のまま迫るような勢いで距離をつめてきた。
「もうちょっとでフェイトがイギリスに帰っちゃうでしょ? なのはは寂しくないの?」
「寂しいけど仕方ないよ」
「寂しいってこと、フェイトに言った?」
「言ってないよ」
「どうして言わないの?」
「どうしてって……」
 言っても仕方がないから――それを言うべきか、なのはは悩んだ。
 アリサはアリサで、フェイトに何も言っていないなのはに対して、それと同時にすずかに指摘されるまで‘あること’に気がつかなかった自分に苛立っていた。
「ねぇ、なのは。 もしも私が留学するって言ったら止める?」
「アリサちゃん留学するの?」
「もしもの話よ。 どうなの、止める?」
 アリサからの質問になのはは少し悩んだ後、たぶん止めないと小さな声で言った。
「どうして?」
「だって、アリサちゃんはきっとやりたいことがあって留学するんでしょ? それなら止める権利は私にはないよ」
 なのはの考えを聞いて、アリサは納得がいった。恐らくその考えがあって、なのははフェイトのことも止めないのだろう。
「止める権利はないけど、思ってることは言ってもいいんじゃない?」
「思ってることって?」
「寂しいんでしょ? フェイトがいなくなったら」
 いなくなったら。
 その単語になのはの心は暗くなる。間もなくくる冬休み。その後の受験。それから卒業。どんどんフェイトと過ごせる時間が少なくなっていく。
 買い物があるから集合に遅れるとメールしてきたフェイトに付き合うと言い出したのは、なのはからだった。
 受験勉強があるからという理由で5人で集まる時間も少なくなってきている。特にはやてとフェイトは学校が違うので、廊下で偶然すれ違うということもなければ、お昼休みに一緒にご飯を食べるということもない。それに冬休みは受験間近ということであまり遊ぶ時間がないため、なのはは皆で一緒にいられる時は一緒にいたいと考えていた。
「ねぇ、なのは。 あたしもさっきすずかに言われて気付いたんだけど」
 アリサは先ほどすずかが言った疑問を思い返す。
 事情があるのがわかっているから、なのはだけでなくアリサもすずかもはやても、フェイトがイギリスに帰ることを止める者はいなかった。
 だけど、学校は違うけれど高校生活3年間を一緒に過ごした友達と、もしかしたら一生の別れになってしまうかもしれないというのに、誰も引き止めない。しかもなのはたち4人はまるで気にしていないように、何事もなかったかのように振舞っている。
 もし自分がフェイトの立場だったら――?
「無理やり引き止めたりするのはよくないとは思うわよ。 でも、誰にも何も言われないのも寂しいものじゃない?」
 よく考えてみて。アリサはなのはにそう言うと、先にすずかたちが待つテーブルに戻っていった。



「フェイトちゃんは寂しくないのかな……?」
 ベッドに寝転がりながら、なのははアリサに言われたことを考えていた。
 夏休み辺りから、勉強している時以外はこうしてベッドの上で色々と考える時間が増えている。時間をかけて考えた末、いつも結論や解決策のようなものは何も浮かばなくて、そのまま寝入ってしまうのだけれど。
 フェイトはいずれは母の残してくれた資料などを使って研究を引き継ぎたいと言っていた。
 イギリスに帰った後は資産運用など彼女がやるべきことはたくさんあり、リンディが引き続き援助をするような話もあったけれど、フェイト本人が自分でやりたい、やらせてほしいと頼んでいた。
 フェイトがやりたいことは日本ではできないことで、彼女が日本に留まる理由は恐らく何もない。そうは言っても、まだ20歳にも満たない人間にできることの限界がある。だから、しばらくはハラオウン家から数人をイギリスに送り、フェイトのサポートをさせるとリンディは話していた。
 着々と進んでいる帰国の話になのはは何も口出しできなかった。
 それに高校3年間だけ日本にいる約束だったからとフェイトに言われてしまっては、余計に何も言えない。
「イギリスかぁー……」
 遠いな。
 なのはは思わず本音を零した。





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