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【さくら色clover】(34)(35)
文字数の関係で2つ分

もうちょっとでおしまい。
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(34)



 はやては進路希望表を前に頭を抱えていた。
 模擬試験の合格判定ならば有名な大学名でも記入しておけばいいが、個人面談に使われる資料では適当なことを書くわけにはいかない。将来の希望と現在の成績と、あとは金銭的な事情を考慮して進路希望を出さなくてはいけないはやてには色々と悩みの種が多い。
「フェイトちゃんはもう面談した?」
「うん。この前終わったよ」
「進路のこと、何か言われた?」
「特に何も……。もうちょっと有名な大学狙ってもいいんじゃないか、って言われたくらい」
 早々に希望表を提出したフェイトは面談もあっさり終わったらしい。はやては羨ましそうな視線をフェイトに向けながら、思わずため息をついた。
「まだ先の話なんだから、そんなに深刻にならなくてもいいんじゃない?」
「そうは言うても、奨学金とかもらいたいから今のうちにはっきりさせておいたほうがええような気がして」
「はやての成績なら心配しなくても大丈夫だよ」
「そうかなー?」
 フェイトの後押しもあり、少しだけ気持ちが軽くなったはやては完成した希望表を提出するために席を立った。



『フェイトちゃんから話があります』
 それだけ書かれたはやてからの一斉送信メールを見て、なのはたちは首をかしげた。
 フェイトから送られてきたのではなく、はやてから送られてきたということにまず疑問が浮かぶ。それから、何の話があるのだろうかという疑問。
 つい最近、結婚だ婚約だと色々と話があったばかりだから、もしかしたらその話があまり良くない方向に進んでしまったのかもしれないと、3人の考えが勝手に悪い方向に進んでしまう。
 とにかく放課後になればはっきりするのでそれまでは待つしかない。わかってはいるけれど、なのはは授業に全く集中できないまま放課後を迎えた。
「それで、話って?」
 先に到着していたアリサたち聖祥組は、はやてとフェイトが現れてすぐに気になっていたことを口にした。
 どうやらはやてが3人にメールを送っていたことをフェイトは知らなかったらしく、不思議そうな顔をしながらはやてを見ている。
「ほら、フェイトちゃん」
「ほらって……私?」
「みんなにフェイトちゃんから大事な話があります」
「特にないけど?」
「ないわけないやろ。さっき、学校で言ったことアリサちゃんたちにも報告っ!」
 意思疎通ができていない2人を前に、アリサは少しだけイライラ。なのははおろおろ。すずかは心配そうな顔はしているものの、静かに2人の様子を見守っている。
「どこの大学受けるとかそんな具体的なことは言わなくてええけど、フェイトちゃんの場合は違うやろ?」
 どうやら進路の話らしい。2人のやり取りから予想がついたアリサたちは大人しくフェイトが話してくれるのを待つ。
 しばらくしてから、ようやくはやてに促されるようにフェイトが口を開いた。
「高校を卒業したら、イギリスに帰るんだ」





(35)



「フェイトちゃんのこと、いいの?」
 電話越しに聞こえる心配そうなすずかの声。その質問の答えになのはは困ってしまった。
 フェイトがイギリスに帰ると言った時、なのははしばらく何を言われたのか理解できなかった。
 今だって、はやてとフェイトとは通っている学校が違う。大学生になればアリサやすずかと違う道に進むことになり、今までのようにみんなで頻繁に会うこともなくなるだろう。
 そのせいもあるのか、フェイトがイギリスに帰ると言ったことに対しても、なのははいまいち実感がわいていなかった。
「高校を卒業したらフェイトちゃんとは会えなくなっちゃうかもしれないんだよ?」
「それはそうだけど、まだ卒業まで1年以上もあるし……」
「でも、卒業する頃にはもう皆の進路も決まってるんだよ?」
 それから慌てたのでは遅い。そのことをすずかは言いたいけれど、なのはの反応は悪い。
 故郷に帰ろうとするフェイトを止める権利は誰にもない。それはすずかだってわかってはいるけれど、誰よりもフェイトのことを気にかけていたなのはの反応が心配になっていた。
 もしかしたら突然のことになのは自身が戸惑っているのかもしれないと思い、すずかは電話をしてみたがどうやら当たりだったらしい。
「ねぇ、なのはちゃん。フェイトちゃんのこと好き?」
 だから、敢えてすずかはストレートに質問をぶつけてみた。
「どうかな?」
「よく、わからない……」
「どうして?」
「……どうしてかな?」
 電話越しだけど、今なのはは困った顔をしているのだろう。すずかがそのことを容易に想像できるくらい、なのはの声にいつもの明るさはなかった。
「私はなのはちゃんのこと、大好きだよ。もちろん、フェイトちゃんもアリサちゃんも、はやてちゃんも」
「私だってすずかちゃんのこと大好きだよ」
「フェイトちゃんのことは?」
「好きだよ。だけど……」
 それっきりなのはは黙ってしまう。すずかはちょっと意地悪をしすぎたと反省しながら、難しく考えないでほしいと伝えると電話を切った。



 フェイトちゃんのこと好き――?

 すずかに言われた言葉がなのはの心と体に圧し掛かる。
 友達として、もちろんフェイトのことは好きだ。だけど、すずかがそういう意味で質問をしたわけではないことくらい、なのはだって気づいていた。
 ベッドに寝転がりながら、なのははぼんやりと天井を見上げる。
 卒業した後のことなんて、今は考えられない。
 志望校や志望学部がすでに決まっているクラスメートがいる中、なのはは具体的なことは何も決まっていない。最近では、何がやりたいのか決まらないことがなのはの悩みの一つでもあった。
 高校を卒業した後の自分の姿が想像できなくて、もしかしたらずっとこのままなのかもしれない――そんな風に考えてしまうこともある。
 だから、フェイトから高校卒業後はイギリスに帰ると聞かされた今でも具体的なビジョンが浮かんでこない。
 フェイトへの気持ちと、将来のことと。色々と考えなくてはいけないことがある。なのはは眠りにつくまで、何度も深いため息をついた。





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