<< 【さくら色clover】(32) | main | 【さくら色clover】(34)(35) >>
【さくら色clover】(33)
なのはさんもやもや中。

友情? それとも。

----------------------------



(33)



 出会ったばかりの頃。学校生活を含め色々と事情があったフェイトはなのはに何も話してくれなかった。
 何も話してくれないけれど、はやてが学校での様子を教えてくれて、リンディも彼女の家庭環境について教えてくれた。
 そして、今回もなのははアリサから聞くまでは何も知らなかった。
 フェイトが悩んでいたであろう時期に何度も会っていたはずなのに、彼女の様子がおかしいことに気が付けなかった。
 帰宅したなのははベッドに寝転がりながらフェイトとやり取りしたメールを見返していた。当然のことながら、メールからフェイトが悩んでいることを察することはできない。

 ――なんだろう、この感じ。

 気が付けなかった自分に対しても。何も話してくれないフェイトに対しても。微妙な変化に気づいてあげられるはやてに対しても。今回の事情を知っていたアリサに対しても。
 誰も悪くないのだけれど、なのはは消化しきれない何ともいえない気持ちを抱えていた。
「フェイトのこととなると、ほんっとあんたは面倒くさい!」
 以前アリサに面と向かって言われた言葉をなのはは思い出す。
「友達が困ってるんだから力になりたいのは当たり前だよ!」
 あの時はそんな風にアリサの言葉を跳ね除け、なぜそんなことを言われるのかさっぱりわからなかったけれど、改めて考えてみると当たっているのかもしれない。
「これも嫉妬っていうのかな……」
 同じ学校であるはやてが羨ましいと思うことがある。
 パーティーでアリサとフェイトが会ったと聞き、自分には無縁な世界の話だと思った。それと同時にやはりフェイトとは住む世界が違うという現実を突きつけられた感じがして、寂しくなってしまった。
 人それぞれ考え方や性格もあるだろうが、友達だから全部を知りたいと思うのは我がままだとなのはは考えていた。なのは自身、隠し事の一つや二つすることもある。

 それなら友達じゃなかったら――?
 全部、話してくれる?

 なのはの知るフェイトの性格からしてそれも難しそうだ。
 出会ってから、もっと彼女のことを知りたいと色々な話をしてきた。だけど、肝心なことを彼女はいつも隠してしまう。
 頼ってほしい。
 だけどそれが叶わない。
 自然と深いため息が出てしまう。なのはは何も解決できないまま、襲ってきた睡魔に身を任せた。



 お店の手伝いを終えたなのはは、この後どうしようかと悩みながら公園内の空いているベンチに腰掛けた。
 よくフェイトと会っていた公園。フェイトと仲良くなってから時間が経つにつれて、ここで会うことは少なくなっていた。
 何も知らずにフェイトと他愛のない話をできていたあの頃。ただ偶然に出会えることで、喜んでいた時期。
 フェイトの事情を考えるとあの時期が決していいとは思わないけれど、なのはの気持ちだけを言っていいのであれば、フェイトを独り占めできている感じがする当時が楽しかった。
 進級してから、フェイトにも学校内の友達が増えたようで、その人たちとの繋がりも出来ている。
 フェイトにとってはいいこと――のはずなのに、なのはは両手を挙げて喜ぶことがどうしてもできなかった。
「来るわけ、ないよね……」
 家族連れやカップルがなのはの前を時々通りすぎていく。
 もしかしたら、フェイトも通りかかるかもしれない。そんな淡い期待を抱いてしまうが、そんなことはきっと起こらない。
 帰って勉強でもしようかな。なのはは残りの休日をどう過ごそうか考えながら、公園を出た。





→Next




| さくら色clover(パラレル) | 00:45 | comments(0) | - | pookmark |
スポンサーサイト
| - | 00:45 | - | - | pookmark |
コメント
コメントする







SELECTED ENTRIES

web拍手

ご感想・ご意見・誤字脱字報告など
何かございましたらこちらから。


CATEGORIES

RECENT COMMENT

Link

Links2

counter

カウンター

MOBILE

qrcode

PROFILE

☆当ブログはリンクフリーです。

SEARCH

SPONSORED LINKS

RECOMMEND