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【さくら色clover】(26)
ちまちまいきます。パラレルものの続き┏〇ペコッ



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(26)



 成績表を受け取って、フェイトは改めて一年が終わったことを実感した。
 馴染めないクラス、子供じみた嫌がらせ。早退したことは数え切れないけれど、教師にそのことを咎められたことはなかった。
 次のクラス替えでクアットロと別のクラスになるという保障はどこにもないが、仮にまた同じクラスになったとしてもクラスメイトが入れ替われば何かが変わる――そう信じるしかない。
「おー、フェイトちゃんは優秀やなー」
 背後から聞こえた声に、フェイトは素早く成績表を隠す。だが既に手遅れで、はやては肝心なところをしっかりと見ていた。
「他人がうらやむような容姿で、勉強もできて、スポーツもできて。ほんと、完璧超人や」
「そんなことないって」
「謙遜はよくないなぁー。フェイトちゃんが来たことで泣いた子が何人いるか……」
「大げさだよ」
 たかが学校の成績じゃない。フェイトはそう言いかけてやめた。
 大学入試を意識している人にとっては1年次の成績も重要であり、クラスの中には試験という言葉に過敏に反応する人もいる。
 フェイトもトップを狙っているわけではないけれど、大学進学の際に誰にも文句を言われず自由になるためには、ある程度の成績を収めてく必要があると考えていた。
 それにフェイトの成績を羨ましがっているはやても、奨学金の件があるので毎回ちゃんと成績上位者に入っている。
「ようやくこれで春休みかー」
「はやては春休みもアルバイト?」
「皆と遊ぶ時間はちゃんと取ってるよ」
 それ以外はバイトなんだとフェイトは苦笑い。
 はやては手帳を確認しながら、春休み中にいくら稼げそうか計算する。無駄遣いをしているほうではないし、そこまでお金に困っているというわけではないけれど、稼がせてもらえるのであれば稼ぎたい。そんな気持ちがある。
 春休みは課題もそれほど多くはなく、補習もない。それに来年になれば大学受験の勉強で忙しくなるので「今回の春休みが遊ぶにはもってこいよ!」とアリサが意気込んでいたために、5人で遊ぶ予定がたくさんある。
 それでも毎日遊ぶというわけではないので、予定のない日がフェイトには結構ある。
「私もアルバイトしてみようかな……」
 独り言にも取れるフェイトの言葉にはやては耳を疑った。
 転入してきた当初から比べると大分打ち解けてきたけれど、フェイトはまだまだ他人と接することを避けるところがある。そんな彼女の口からアルバイトという言葉が出るなんて、はやてには予想外だった。
「何かやってみたいアルバイトとかあるの?」
「そこまで考えてないけど……。高校生だと雇ってくれる所ってあんまりない?」
「そうでもないけど」
 はやてはフェイトの姿を改めて見る。うん、文句なしの美人。ではなく、フェイトがアルバイトをした時の周囲の反応を考えた。
 女子高生、金髪、綺麗という言葉が当てはまる女の子。
 正直、どこの職場に行っても一人くらいはちょっかいを出してくるだろう。それにフェイトのことだから、ハラオウン家の人たちには内緒でアルバイトをする気なのだろう。もし、何かトラブルがあった時に誰が彼女を守るのか。もちろん、はやてだってフェイトを全力でサポートするつもりだが限界がある。そうなると、雇ってくれるならどこでもいいというわけではない。
 はやては自分のアルバイト先を紹介しようかどうか悩んだところで――ある場所を思いついた。
「フェイトちゃん、本気でアルバイトする気ある?」
「うん。雇ってくれるところがあるなら」
「わかった。私に任せて!」





「で、なんでこんなことになったのよ」
 アリサは本日のお勧めスイーツのアップルパイを口に運びながら、はやてに聞いた。
「フェイトちゃんがアルバイトしたい、って言うから」
「何もここじゃなくたっていいでしょ」
「ええやん。なのはちゃんも楽しそうだし」
「あれが楽しそうなわけ?」
「あ、違った。なのはちゃんを見るのが楽しいし」
「あんたねぇ……」
 アリサはため息をつきながら店内をぐるりと見回した。
 なのはからフェイトが翠屋でアルバイトをするということを聞いたのが3日前。あまりにも突然すぎる話にアリサは驚いたが、なのはもその前の晩に両親から聞かされたらしい。
「フェイトちゃんにとってもこれとない好条件だし、いいかなと思って」
「私もフェイトちゃんが翠屋でアルバイトすることに賛成だよ。それにフェイトちゃんはお金が欲しいからアルバイトするわけじゃないんでしょ?」
「そうなんよ、すずかちゃん。何て金持ちの道楽アルバイト!!うらやましい……」
「あたしだって反対はしてないわよ。あの子、しっかりしてるけどどこか抜けてるところがあるし」
 でも、とアリサはもう一人の友人を見る。
 テキパキとオーダーを取ったり、テーブルの片付けをしている傍ら、フェイトの動きを確認することを忘れない。正確にはフェイトの動きというより、フェイトに話しかけている人を見ている。
 翠屋には圧倒的に女性のお客さんが多いが、カップルや甘いもの好きな男性グループも訪れる。常連客の中には店員に気さくに話しかける人もいて、そういう人になのはは目を光らせている。
「いやー、なのはちゃんはわかりやすいなぁ」
「あれはいいわけ?」
「私はああいうなのはちゃん好きだよ」
「すずかはなのはの肩持ちすぎ」
「お、アリサちゃんも妬きもちか?」
「はやて、そのケーキ食べてあげましょうか」
 なのはとフェイトが働く姿を横目にアリサたちの有意義な午後は過ぎていく。





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なにも進展ないまま1年生終了ー。
| さくら色clover(パラレル)★連載中 | 23:30 | comments(2) | - | pookmark |
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コメント
◇衛宮さま
初めまして!コメントありがとうございます。
リンクは貼るなり剥がすなり、ご自由にどうぞm(_ _)m
はやフェイがお好きなのですね!なのフェイに比べると数は少ないですが、更新していきますね。

| お返事@ゆぃな | 2013/11/14 10:44 PM |
初めまして
某ブログ管理人の衛宮と申します。
昔からゆぃなさんの作品を読むことが多く
特に私ははやフェイが大好物です!
なのフェイも勿論大好きです!!
これからも長編等の方頑張って下さい。
そして、宜しければリンクさせて下さい!!
| 衛宮 | 2013/11/13 12:01 AM |
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