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【さくら色clover】(25)
もう誰も覚えていないかもしれない(私は覚えてるよ!!!
パラレルJKの話の続き。




時間だけがすぎていく。
変わることの難しさ。でも、少しずつ変わってきている。



----------------------------



(25)



 夏休みが終わり、秋も過ぎ――あっという間に季節は冬。
「で、あんたは何に悩んでるわけ?」
 もうすぐ冬休みに入るという頃に、アリサはなのはに直接尋ねた。
「別に悩みなんかないよ?」
「悩みのない人が携帯見つめながらため息なんかつかないでしょ」
「私、ため息なんてついてた?」
 なのはの反応に、アリサは無意識だったのかとため息をついた。
 着信を知らせる反応が無い携帯電話を見つめて、時折寂しそうな顔をしたり、ため息をついたり。アリサはそんな友人の姿を2週間近く見ているので、いい加減にしてほしいという気持ちも生まれてくる。
「そろそろ向こうも試験が終わってるはずだから、連絡取ってみればいいじゃない」
「連絡は取ってるよ?」
 しれっというなのはにアリサは「あっそ」と素っ気無い返事をする。
「それなら何を悩んでるのよ」
「だから、悩みなんてないって」
 何気なく会話をしている2人だが、他人が聞いたら全く内容がわからない。だけどなのはもアリサもそんなことは気にもとめず、話を進めている。
 フェイトという単語が一度も出て来ていないのに、フェイトの話をしている。そのことに気がついたすずかは笑みを浮かべずにはいられなかった。だが、このまま2人に堂々巡りの会話をさせていても仕方がない。
「ところで、なのはちゃんはクリスマスパーティーの日は大丈夫?」
「大丈夫だよ。翠屋のお手伝いが終わってからになるけどいいかな」
「それはもちろん。その日は泊まれる?」
「うん! 今から楽しみ」
 なのはは嬉しそうにいうと、スケジュールに予定を入れ始めた。
「アリサちゃんは?」
「私も大丈夫。前日に父の付き合いで堅っ苦しいパーティーに出なくちゃいけないから、その日はめいいっぱい楽しむわよ」
「よかった。じゃあ、後ははやてちゃんとフェイトちゃんの予定だけだね」

 クリスマスイヴにフェイトちゃんに会えるんだ。

 なのはは嬉しそうな笑みを浮かべると、メールを打ち始めた。クリスマスに2人だけで会いたいという気持ちが少しあるけれど、みんなで会った後にわざわざ会う理由もない気がする。
 結局、クリスマス当日はみんなでパーティーをして、プレゼントを交換して――新しい年を迎えた。





「フェイトちゃん、はい」
 なのはから差し出されたチョコレートをフェイトは戸惑いながらも受け取った。
 バレンタインは知っていたけれど、日本では女性が男性にあげる習慣があるとリンディに教えてもらっていたために、自分には関係がない話だとフェイトは思っていた。
 ところが、学校へ行くと友人たちからお菓子をもらってしまい、最近では友達同士で交換したりお世話になった人にあげたり。男女関係なく行われるイベントになっているということを知った。
「あの……私、何も用意してなくて」
 こんなことならクロノのために用意したときに余分に買っておくべきだった。
 今さら後悔しても仕方がないが、なのはからもらったチョコレートを見てしまうとフェイトは申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
「別に気にしなくていいよ! 私がフェイトちゃんにあげたかっただけだから」
「ごめんね、なのは。ホワイトデーに必ずお返しするから」
 そんなに落ち込まないでとなのはが慰めるが、フェイトの気持ちは沈んだままだ。
 なのはから14日に会いたいとメールで誘われた時も、フェイトはクロノにチョコレートをあげるか否か悩んでいる時期だったので、

 バレンタイン当日になのはから背中を押してもらえる一言をもらえたらいいな。

 そんな気持ちがあったために、それ以上のことは考えずに返事をしてしまった。
 なのはは最初からチョコレートを渡すつもりで14日に誘ってきたのだろう。そのことに気が付いたフェイトは、結局その日は一日中、沈んだ気持ちのまま過ごすこととなってしまった。
 一方、なのはは友達同士で交換することが当たり前になっているバレンタインばかり経験していたので、もらえないことがこんなにも悲しいことなのだということを初めて知った。
 本当に申し訳なさそうな顔で謝るフェイトを前に「気にしないで」と言ったものの、無いと言われたことが少しだけショックで、帰宅してからなのはは部屋でどうしようもない寂しさに襲われていた。
 5人で集まった時にみんなでバレンタインの話をしたこともあったはずだが。
「皆は誰かにあげるの?」
 バレンタインでは女性から男性にあげる習慣があるという知識しかなかったフェイトから質問された時に、
「私は毎年同じだよ。お父さんとお兄ちゃん」
「私も。あとは普段お世話になってる人とか」
 フェイトを除く4人は誰一人として友人やクラスメイトという単語を出さなかった。
「うぁぁぁ……」
 そのことを思い出したなのはは思わず頭を抱えた。
 4人にとって仲がいい友達にあげることは前提、それも話題にすら上らないほどの大前提。誰も言わなかったのだから、それをフェイトが知らないのは仕方がない。
 でも、ちょっと待ってほしい。街中であれだけ友チョコやご褒美チョコやら、様々なバレンタインチョコレートの単語が飛び交う中で、気がつかなかったのだろうか。
 ――あぁ、でもフェイトちゃん。あんまり街のお店とか行かなそうだし。テレビも見てないんだろうな。
 なぜフェイトからチョコレートがもらえなかったのか。なのははその原因を真剣に考えた結果、もらえる可能性を自ら下げていたことに気が付いてしまった。
「ホワイトデーは期待してもいいのかな……?」
 1か月後に淡い期待を寄せながら、アリサたちからもらったチョコレートを食べ終えるとなのはは眠りについた。





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| さくら色clover(パラレル)★連載中 | 00:25 | comments(2) | - | pookmark |
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コメント
◇小森さま
お返事が随分と遅くなってしまいました。ごめんなさい。
コメントありがとうございます!
細々とブログは更新し続けております。
まだまだリリカルで活動している方がいらっしゃるので、私もがんばりますっ!
| お返事@ゆぃな | 2013/10/29 11:39 PM |
初めまして!
この間なのはの映画を見たので、「久し振りに昔大好きだったゆぃなさんのサイト見てみるかなー。どうなってるのかなー?」とか思いながら見にきたら、今も精力的に活動していて凄く嬉しかったです!(私が見てた時は確か丁度夢幻迷路の一章を連載してた頃でした)
久し振りにゆぃなさんのSSを一気読みして今最高の気分です!今後も頑張ってください!!
やっぱりなのフェイは最高だぜ!
| 小森 | 2013/09/14 12:48 AM |
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