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【それでも君が好きだから】(6)
(6)(7)


 〜 6 〜



 今まで感じたことのない痛み――
 フェイトが地面に足を付くたびに、体の内側から鈍い痛みが襲ってくる。
 どうしてこんなことになってしまったのか、答えはわかっている。それでもフェイトはより正確な答えが欲しくて自分自身に問い続けながら、走り続けた。



「やっぱり、フェイトさんは……速いね――」

 どこか的外れなことを言うヴィヴィオの腕をフェイトは掴んだ。
 しかし、フェイトは掴んだだけで無理に振り向かせようとはせず、とぼとぼと歩き続けるヴィヴィオに付いていく。

「ヴィヴィオ、ごめんね。私、」
「聞きたくないよ……」

 伝えようとした言葉は、ヴィヴィオによって制されてしまう。
 何を伝えてもヴィヴィオのことを傷つけてしまうことはフェイトだってわかっているが、このままでは何もかも崩れてしまう。
 すべて上手くいくことなどないけれど、フェイトはせめて自分の守りたかったものは守りきりたかった。

「私、やっぱりなのはママの子なんだ」

 振り返らず、まるで独り言のように呟くヴィヴィオの声をフェイトは黙って聞いていた。

「フェイトさんの優しさに甘えて、ひどいこと――」
「……ヴィヴィオ」

 言葉尻はしっかりしているが、ヴィヴィオが泣いていることがフェイトにはわかってしまった。
 微かに震える肩の振動が、掴んだ腕を通してフェイトに伝わってくる。

「でもね、フェイトさんのことが好きなのは本当だから。
 なのはママのことが好きなフェイトさんでも、私は好きだから」

 一体、今日だけで何度ヴィヴィオから好きという言葉を聞いたのだろうか。
 フェイトはヴィヴィオから伝えられた想いの重さに必死に耐えていた。
 ヴィヴィオの気持ちは本物かもしれない。
 しかし、その気持ちがずっと続くとは限らない。
 もっと大人になって、色々なものを見て、知って――いつかヴィヴィオもわかる時が来るだろう。
 かつての自分のように、どんなに思いが強くても、どんなに力があっても越えられない壁はあると気付くだろう。
 もしかしたら、そのこともわかった上で想いを伝えてくれたのかもしれないが、それならば尚更だ。

「誰かを好きになることはいいことだよ。ヴィヴィオにはたくさん人を好きになって欲しい」

 自分はなんて残酷なことをヴィヴィオに言おうとしているのだろう。
 フェイトはこれからヴィヴィオに伝えようとしていることを考えて、吐き気がした。

 綺麗事――

 それは、なのはへの気持ちの区切りを付けるために、フェイトが自分自身に何度も言い聞かせた言葉だった。
 自分がなのはに抱いている想いは、他の人へと向けられるものと大して変わりはない。
 まだきちんとした恋を知らないから、なのはが好きだと錯覚しているだけだ。
 それに、この好意が本物の恋愛感情だとしてもそれは許されるものではない。
 世間に認められることもなければ、子供を作ることも出来ない。
 こうやって色々と理由をつけて、だからなのはは友達だとフェイトは思っていた。

「これから、もっとたくさんの人に出会うから。その中でヴィヴィオがずっと一緒にいたい人を見つけて」
「どうして?どうして、フェイトさんじゃダメなの?」

 ああ、似ている――

 フェイトは必死に訴えるヴィヴィオを見ながら、かつての自分を見ているようだった。
 誰かにこうして尋ねたことはなかったが、なぜなのはではダメなのか。どうして、なのはの恋人になれないのかと何度も自分自身に問いかけた。

「私は――」

 そして、いつも行き着く答えは1つ。

「ヴィヴィオとずっと一緒にはいられない」

 先に待つ未来は決して明るくはない。





 〜 7 〜



 フェイトの真剣な――苦痛に満ちた表情を見たからだろうか。
 ヴィヴィオは、納得できないものもたくさんあったが、それ以上彼女に何かを問うことはしなかった。
 フェイトがいつからなのはのことを想っているかはわからない。だが、様々な経験をして、色々と考えた末のフェイトの答えがそれなのだろう。
 そして、それを理由にフェイトはなのはの親友であり続けたのであろう。

「……っ、わた、し――」

 フェイトが自分の事を一度も責めなかったのはなぜだろう。
 抵抗することも出来たのにしなかったのは、やはり母の言うように彼女の優しさだったのだろうか。
 わからないことだらけだった。
 フェイトのことも、自分の事も――
 フェイトのことを好きな気持ちは確かなはずなのに、どうしてこんなにも苦しいのだろう。
 ヴィヴィオの頭の中で様々な感情がぐるぐると回り始める。 考えても考えても答えは出てきてくれそうにないが、それでもヴィヴィオは考えることをやめなかった。
 フェイトへの想いを捨てるのか。
 それとも想い続けているが、今の関係以上のものは望まないのか。
 フェイトにあのような行為をしてしまった今、できるだけ早く答えを見つけなければならない。
 ヴィヴィオはフェイトが後ろに付いてきている気配を感じながら、必死に考えていた。

 だから――気が付かなかった。

 突然、体がとんと押され、ヴィヴィオは思わずよろける。
 続いて、ヴィヴィオの耳に聞こえてきた鈍い音と急ブレーキの音。

「な、に……?」

 ヴィヴィオが音のした方へと視線を移すと、後ろにいたはずの彼女の姿がない。
 代わりに大きなトラックが止まっていた。

「おいっ、大丈夫か!?」

 知らない男性の声が聞こえる。
 ヴィヴィオも何があったのか確かめようと、男性の声がする方へゆっくりと歩いていった。
 そこには――





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